高校3年生の夏休みの過ごし方~大学一般入試受験に向けて~
塾を運営していると生徒、保護者の方から、夏休みの過ごし方ご相談を頂きます。
受験勉強は3年生の夏からで間に合いますよね。
夏休みは復習をすればいいでしょうか。
赤本や共通テストの対策はいつからやればいいでしょうか。
などなど。
この記事では、高校3年生を対象に夏休みの過ごし方についてご紹介します。
今回ご紹介する内容は、私が運営する塾でも実際に取り組んでいるものです。
この記事を読んで頂ければ、効果的な夏休みの過ごし方が分かって頂けるかもしれません。
夏休み以降のスケジュールと注意点
多くの高学校では、すでに大学受験に必要な科目の学習は終わっており、本格的に受験勉強に取り組む時期だと思います。
共通一次テストが年明けにあり、1月末からは私立大学、2月からは国公立大学の入試がスタートします。
夏休みにしておきたいこと
夏休みに一番しておきたいことは、赤本や共通テストの過去問に取り組むことです。
赤本や共通テストの過去問はまだ先でいいのではと思われるかもしれません。
夏休みに赤本や共通テストの過去問に取り組む最大の理由は、目標と現実との差を確認するためです。
受験に向け各受験科目の復習はもちろん重要ですが、受験には効率的に学習することも重要です。
そのためにまずは目標と現実との差を確認し、その差を埋めるための勉強として復習(受験勉強)をしていくことが重要です。
もし受験科目の学習がまだ終わっていない場合は、まずは優先してその学習を終わらせてください。
予習が必要であれば、予習をしてでも終わらせていきましょう。
予習の仕方については、こちらの記事で詳しく説明しています。
過去問の使い方
まずは受験予定の大学の中で、一番偏差値の低い大学の過去問から取り組んでいきましょう。
共通テストが一番簡単な場合は、共通テストの問題に取り組みましょう。
受験校の赤本、共通テストの過去問をレベル分けして、一番簡単なものから順番に取り組み、だんだんと問題のレベルを上げていきます。
そして赤本、過去問演習の間に、復習を挟み、徐々に過去問の解ける問題を増やしていきます。
そうすることで、各受験校の対策をしながら、最短距離でレベルアップをしていくことができます。
またどの過去問も難しすぎる場合は、少しレベルを落とした大学の過去問に取り組んでみましょう。
共通テストを初年度受験する生徒の場合は、予想問題集や、過去に実施された試行テストの過去問を使用することをおすすめします。
試行テストの問題、解答についてはWeb上で公開されています。
赤本は1冊が高いですが、Amazonでも昨年までのものを安く購入することができます。
受けるかどうか分からない、過去問の練習につかう大学であれば、昨年までの過去問でも十分です。
赤本には過去問だけでなく、合格点や入試情報に加え、合格体験記や、問題の傾向、おすすめの勉強法、問題集なども載っています。
うまく活用していきましょう。
目標点を決める
まず過去問をやる前に受験校のそれぞれ合格基準を確認し、目標点を決めましょう。
どれだけ点数を取れば合格するかを知ることはとても重要です。
受験する大学にもよりますが、入試問題の合格点は50~70点である場合がほとんどです。
入試問題の特徴
東京大学全体のここ10年の2次試験合格者の平均点は60%前後で推移しており、医学部である理科三類でも70%前後で推移しています。
これは30%前後は解けなくてもいいと解釈することもできます。
入試問題は通常のテストとは違い高得点をとることが目的ではなく、合格点をクリアすることが目的です。
そのため、取り組むべき問題もあれば、場合によっては取り組む必要のない問題も存在します。
入試問題を取り組む前に、合格点を確認し、入試本番までに入試問題をどのように取り組むかの戦略、時間配分を決める必要があります。
受験勉強=応用問題演習ではない
入試問題の特徴を踏まえ、勉強があまり得意でない生徒は基本~標準問題に絞って学習をします。
反対に上位校を目指す生徒は、基本~標準問題は全問正解を狙ったうえで、応用問題の練習を中心におこないます。
受験勉強は応用問題など難しい問題をたくさん解くことをイメージされる方も多いかもしれません。
しかし、実際はそうではなく基本~標準問題の徹底が受験勉強でもっとも大切です。
いくら難しい問題が解けても基本~標準問題で点を落としては合格は遠ざかります。
応用問題の1点も基本問題の1点も同じ価値です。
過去問をやってみて採点をしたときには自分がどのレベルの問題で落としているかを必ず分析しましょう。
基本~標準問題での失点が多いのか、応用問題での失点が多いのかで勉強の仕方は変わってきます。
基本、標準、応用問題の特性
問題の特性上、基本~標準問題は問題の出題パターンがあまりありません。
問題を作るときに基本~標準問題は、数学なら数字を変えるぐらいしか問題の変えようがないため同じような問題が出題されやすくなります。
反対に応用問題はいくらでも問題の出題パターンを変えることができるため、同じ問題が出題される割合は少なくなります。
効率よく点数を取るための方法の秘訣は、まずは基本~標準問題を完璧にしてから応用問題に取り組むことです。
何年分の過去問をやるのか
受験する大学の数にもよりますが、最低でも1校あたり3年間分は学習し、第一志望の大学の過去問は5年分以上は取り組みましょう。
最低3年分をする理由は、過去問を解く指針を決定するために最低3回は必要だからです。
また問題の傾向をつかむためにも3回は学習が必要です。
1回目
試験時間に余裕がある教科、ない教科を選別し、余裕がない教科は出題傾向と時間を考慮し取り組むべき大問の優先順位を決め時間配分を決める。
2回目
時間配分通りに取り組み、実際に想定通りに取り組めるか検証し、再度過去問の時間配分を調整する。
3回目
時間配分通りに取り組み、最後の時間配分の調整をする。
第一志望の場合はさらに回数を重ね、時間配分の精度を上げていきます。
時間配分の立て方
時間内にすべての問題を解けることが理想ですが、そうでない場合がほとんどです。
時間配分は生徒の演習スピード、苦手、得意範囲によっても左右されるため個別に戦略を立てる必要があります。
時間配分の基準になるのはもちろん如何に点数が取れるかです。
そのため、過去問を解いたときにどの大問が点を取れる可能性が高いかを見つけ、点が取れる大問から取り組みます。
ただし、点が取れる問題でも、時間がかかる問題は優先順位が低いです。
時間当たりの得点率で考えれば、時間がかかる問題は後回しにして時間がある場合に解くべきです。
また、問題を見て、すぐに解き方が浮かばない問題も後回しにします。
後半に得点しやすい問題が多い場合もあるので、まずは最後まで解いてから、残り時間を考え、得点しやすい問題を順に解いていきましょう。
具体的な過去問の演習方法
過去問は必ず時間を計って解いていきましょう。
時間内に解ききれなかった場合は、時間を延長して取り組んで下さい。
その時に、延長した時間も計り、延長して解いた問題には印をつけて下さい。
その後、過去問の採点をし、時間内で取り組んだ点数と、延長して解けた問題も含めた点数を出してください。
延長した時間、時間内の点数、延長した時の点数が時間配分を決める重要な情報になります。
採点をしたあとは、解説を確認し、問題を再度解き直してできるようになるまで練習をして下さい。
過去問の後は必ず復習
基本的に過去問を解いたあとすぐに過去問を解くことはNGです。
例外は過去問を解いて解けない問題がほとんどない場合のみです。
過去問を解いた後は必ず、復習用のテキストを使って間違えた範囲、理解が不十分の範囲を練習しましょう。
復習がある程度終われば、次の過去問を解いてみてください。
過去問演習と復習のスケジュール
おすすめの学習の仕方は1週間単位で過去問演習と復習を合わせて学習することです。
土:過去問演習と分析
↓
日:過去問の復習
↓
平日:間違えた範囲、理解が不十分の範囲の復習
のようにするとスケジュールも立てやすくなります。
過去問をやるときの注意点
過去問をやるときに注意することは過去問ばかりをするのではなく、過去問をした後に必ず復習をすることです。
過去問ばかりやっても、点数が上がっていきません。
復習をすることで、過去問で解ける問題が多くなり点数も上がっていきます。
点数が上がらない場合は、復習が不足しているか、復習の仕方が間違っています。
その場合は復習の期間を長くするか、復習の仕方を見直してから過去問に取り組んで下さい。
最後に
勉強、大学受験の目的は様々ですが、受験勉強の短期的な目的は、入試問題の合格点を越えることです。
問題集を解いたり、予備校の授業を受けたり、映像授業を見たりすることは、そのための手段です。
問題集、授業には自分が理解している範囲も、自分には必要のない範囲も含まれます。
過去問をまず解くことで、自分にとって必要な範囲が明確になり、効率よく学習ができます。
特に中高一貫校生、浪人生でない生徒は、大学受験に使える時間が中高一貫校生、浪人生に比べ少ないです。
残された時間をうまく使って、受験を乗り越えていきましょう。
皆様の参考になれば幸いです。
皆様のご意見、ご感想、またはおすすめの方法、取り組んで良かったことなども教えて下さい。
お気軽にコメントして頂ければと思います。
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