塾を運営していると生徒、保護者の方からテストの振り返りについてよくご相談を頂きます。
皆さんはテストが返ってきた後に振り返りをしていますか。
テストの振り返り=反省会になっていませんか。
テストを振り返る目的のひとつは、次回のテストでいい点を取るための戦略を立てることだと思います。
生徒の声
生徒からよく聞くのは、テストを親に見せたら怒られたという感想です。
生徒から聞く情報なので実際はどうかわかりません。
ただ実際はどうであれ親に怒られたと思っている生徒は多いようです。
親にテストを見せたがらない生徒もいます。
子を持つひとりの親として、怒りたくなる気持ちも理解できます。
親子だとどうしても感情的になりやすいですね。
テストの振り返りは親にとっても大変なことだと思います。
しかしテストの振り返りをするためには、親が客観的で冷静でいることが前提として求められます。
感情的になってしまえば、振り返りをしたこと自体が逆効果になります。
テストを振り返るときにもっとも重要なことは、振り返りをすることでお子さまが勉強を頑張ろうと思えることです。
その頑張ろうと思える気持ちを具体的な行動へ導くことができれば、次のテストの結果は変わってきます。
テストを見て親が始めにするべきこと
どんなに悪いテストでもほめるところは必ずひとつはあります。
まずは良かったところを見つけ、ほめることを始めにしてください。
前回のテストと比べて良かったことや、テスト前の取り組んでいた様子などもほめて、お子さまの行動を認めてあげて下さい。
ほめることは親が子どもに対して、親が見ている、関心があるということを伝える手段でもあります。
効果的なほめ方は「ずごいね」「がんばったね」「点数が良かったね」よりも「〇〇ができるようになったね」「いつもより学校の問題集をやっていたね」など具体的な言葉で、取り組みについてほめることがポイントです。
そして指摘する必要がある場合は事実だけを見ること(伝えること)です。
親子で振り返りをする場合、どうしても気持ちや感情がこもってしまいがちです。
感情を言葉に込めず、情報として伝えることを意識します。
また、指摘することは1つか2つに絞って、短く伝えると効果的です。
多くなればなるほど、子どもは聞く耳を持たなくなります。
自分自身で振り返る場合も、できなかったことばかりに目を向けるとモチベーションが下がります。
振り返りはダメなところを探すことではありません。
良かったことを見つけることが一番重要です。
前回の自分と比べて良かったところを必ず探すようにしましょう。
テストのどこをみるか
テストの振り返りで具体的にみるポイントは大きく3つに分けられます。
点数の落とし方
①ケアレスミスをしていないか。
問題文の読み間違いがないか、途中計算や途中式を確認し、ミスをしないように具体的な対策をとります。
②間違えた問題は「わからない問題」かそれとも「見たことはあるけれど忘れてしまった問題」かを分ける。
「わからない問題」の場合は、まず使用した問題集と同じ問題があるかどうかチェックし、同じ問題がなければ、その問題の解き方を覚えて下さい。
同じ問題があれば、練習不足が原因です。
次回のテストに向け、練習量を増やす必要があります。
「見たことはあるけれど忘れてしまった問題」の場合も練習不足が原因です。
次回のテストに向け、練習量を増やす必要があります。
③時間は足りていたか。
時間が足りない場合は、普段の学習からスピードを意識して学習しましょう。
またテスト当日はできる問題からやり、問題を見てすぐに回答できない問題と時間がかかりそうな問題は後回しにし、まずは最後まで問題をやるようにしましょう。
テストの出題傾向
問題集からよく出題されるのか、配布したプリントから出題されるのか、それとも教科書かなど、先生のテストの作り方にも特徴があります。
その特徴を知ることができれば、効率よく勉強することができます。
実際のテストを使って分析をしてみました。
こちらの記事で公立中学校の数学テストについて詳しく分析した結果をご紹介しています。
次はどのように取り組むべきか
次回のテストまでどのように行動するのか具体的に考えることが重要です。
親子で振り返りをするときに注意することは「子どもが自分で決めること」です。
「次は〇〇しようね」と指示をするよりも「次は〇〇したらどうかな」と提案をして下さい。
また「次はケアレスミスをしないようにするためにはどうする?」と問いかけ、本人に考える機会を与えて下さい。
質問をしても答えられない場合は提案をしていきましょう。
そして最後は子ども自身に決めてもらうようにします。
振り返りシート
私が運営している塾では、中学生、高校生の全員と、テスト後の振り返りを一緒にしています。
中学生には事前に下図のシートを記入してもらい、今回ご紹介した観点で一緒に振り返りをしています。
このシートを使いながら対話をする中で、中学生の間にしっかりと振り返りの仕方を身につけてもらいます。
一番初めの振り返りはこちらが話すことが多いです。
学年が上がるごとに
一緒に振り返りをする回数が上がるごとに
生徒が話すことが多くなっていきます。
振り返りの中で、こちらは抜けている観点を補足し、あいまいな行動目標は具体的な行動目標になるように促します。
高校生の場合はこのシートは使わず、どのように振り返ったか、次はどうするかを聞いていきます。
高校生には中学生の間に身に付けた振り返りの仕方を自分で実践してもらい、振り返りがしっかりできているかをチェックしていきます。
生徒と一緒にテストの振り返りをする目的
生徒と一緒にテストの振り返りをする目的は2つあります。
短期的な目的はテストの点数を上げることです。
長期的な目的は自分でテストの振り返りができることです。
テストを正しい方法で振り返ることは、自分の行動を客観的に把握し、目標までの自分の行動を組み立て、実行する力を養うことに繋がります。
この力は自分を成長させ、自分の人生を自分が思い描いたようできる可能性を高めてくれます。
最後に
振り返りをするには技術が必要です。
振り返りの仕方は学校でも詳しく教えてもらうことは少ないと思います。
やみくもに振り返りをすると、どうしても過去のことに目がいきがちです。
「こうしたらよかったのに」「なんでやらなかったのか」「ちゃんと練習したのか」など、そう考えることは意味がないことではありませんが、過去の行動を変えることはできません。
振り返りで大切なことは過去のことは事実だけを確認し、未来のこと(これからのこと)に目をむけ「次はどうする?」を考え、自分で決めることです。
そうすることで振り返ったことが次の行動につながりやすくなります。
そして行動が変われば結果も変わってきます。
皆様の参考になれば幸いです。
皆様のご意見、ご感想、またはおすすめの方法、取り組んで良かったことなども教えて下さい。
お気軽にコメントして頂ければと思います。
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