ご家庭で子どもに教育をされる目的のひとつは、子どもが成長したときに困らないようにするためではないでしょうか。
そのために、本の読み聞かせをしたり、プリント学習をしたり、フラッシュカードをしたり、英語に取り組んでみたり、ピアノを習わせたり、水泳に通ったり、様々な取り組みをされているご家庭も多いと思います。
今まで個別指導で1000人以上の生徒と関わってきた中で、勉強が習慣的にできる生徒、自立した学習者として自ら学ぶ姿勢がある生徒には共通点がありました。
それはセルフコントロール力があることです。
セルフコントロール力とは、自らを律し、目標に向かって自分の行動を管理できる能力です。短期的には目の前の勉強に集中できる力、長期的には目標に向かって計画を立て実行できる力です。
このセルフコントロール力を身に付けるために、3歳までに身に付けておくといい習慣が3つあります。
①読書習慣
②お手伝い習慣
③テレビを見すぎない習慣
これらの3つを幼少期から習慣付けておくことでセルフコントロール力が身に付きやすくなります。
また3歳までとしたのは、個人差はありますが3歳ごろから自分の意志が強くなり始めるため、親がこうしようといったことを受け入れることが難しくなってくるからです。
また、幼稚園や保育園でお友達との関りで影響を受け始める時期でもあるからです。
3つのことを幼少期から取り組み3歳までに家庭の中で習慣化しておくことで、この3つが当たり前になり、中学生や高校生、その先になった時にも苦なく取り組める可能性が高くなります。
①読書習慣
読書が人にもたらすメリットは数えきれないほどありますが、幼少期から取り組むことの大きなメリットのひとつは語彙力が増えることです。
語彙力の限界は思考の限界でもあります。
また、思考の限界は興味の限界でもあります。
興味は主体的な行動を促します。
また、語彙力が増えると自分の気持ちを言葉に表すことができます。
自分の気持ちを言葉にできることで、自分の気持ちを客観的に理解することができます。
自分の気持ちを言葉で伝えることで、相手に理解してもらいやすくなります。
特に幼少期は自分の気持ちをうまく表現ができず、感情がコントロールできなくなることも多いと思います。
語彙力が増えれば、感情表現がうまくできるようになり、気持ちを落ち着かせたり、冷静になる機会が増やすことができます。
読書をすることで語彙力がふえ、
思考、興味の幅が広がり、主体性が生まれる。
自分の気持ちを言葉にできる。
ことができ、セルフコントロールする力を養うことができます。
②お手伝い習慣
お手伝い習慣とは朝新聞を取ってくる、朝カーテンを開けるなど毎日することを子どもに任せるということです。
幼い子どもだと、毎日お手伝いやることを嫌がることも多いと思います。
しかし、家庭を維持していくためには毎日することが大切です。
毎日大人が洗濯、掃除、料理などの家事をしているからこそ、家庭が成り立っています。
大人は嫌だからと言って家事をしない訳にはいきません。
そういった毎日しなければならないことを当たり前のようにこなす力を養うために、毎日決まったお手伝いを子どもに任せていきます。
そして、お手伝いを任せていくことで子ども自身がお手伝いをすることを工夫するようにもなります。例えば、手を抜くことも立派な工夫の一つです。ただ、工夫の仕方が間違っているだけです。
お手伝いをすることで親が子どもに工夫の仕方を教える機会にもなります。
また、時間の使い方もお手伝いの中で教えていくことができます。
また、子どもを家族の一員として、家庭を維持していくために親がしていることを託していくことで責任感も生まれやすくなります。
そして、子どもに家庭での役割を年齢とともにその役割を大きくしていきます。
子ども自身も自分の家庭での役割を担うことで、自分の居場所、自分の重要性を感じやすくなり、自己肯定感を高めます。
自己肯定感は主体的な行動を促します。
毎日決まったお手伝いをすることで、
当たり前のことを淡々とできる。
お手伝いの仕方を工夫する。
時間の使い方を覚える。
ことができ、セルフコントロールする力を養うことができます。
③テレビを見すぎない習慣
個人的な考え方も多分にあることを承知で申し上げますが、テレビやスマートフォン、動画サイト、ゲームなどは時間泥棒だと考えています。
もちろん娯楽として優れたもので、有益なこともたくさんあります。かく言う私も大好きです。
しかし、人の興味を引くように作られているため、自己管理をしないとエンドレスでやり続けることができます。
大人でもテレビやスマートフォン、動画、ゲームにハマるのであれば、子どもはなおさらハマりやすいです。
これらのメディアとどのように付き合っていくかは、現代人にとって大きな課題ではないでしょうか。
今後これらのメディアは拡大していくことが予想されます。
今までより興味を引くように作られ、よりハマりやすく作られていきます。
しかし、これらのメディアを完全に遮断することは不可能です。
そのため、子どもにこれらのメディアとどのように付き合っていくかを伝えていくことはもっとも重要なことのひとつです。
まずは大人がうまく付き合っている姿を見せることが重要です。
具体的にはテレビは見たいものがある時しかつけない。家族で過ごしているときはスマートフォンを見ないなどを大人が実践し、子どもに見せていくことが重要です。
また、これらのものはとっても面白いので、幼少期からそれに慣れてしまうと子どもの興味の方向をコントロールしにくくなります。
コントロールという表現を使うと語弊があるかもしれません。
例えば、英語学習のため子どもに英語のテレビを見てもらいたいと思っていても、すでにテレビで戦隊ものやプリキュアなどを見ていたら、英語のテレビに興味を持たせることが難しくなります。戦隊ものやプリキュアは子どもにとってかなり魅力的なものです。
絵本も同じです。読んでもらいたい本があったとしても、先にアンパンマンに興味をもっていたら、アンパンマンには勝てません。
子どもがメディアに大量に触れる前に、本を読む楽しみ、知識を得る楽しみ、対話をする楽しみ、など様々な楽しみに触れ、興味の幅を広げておくことで、メディアに触れるようになってからもメディア以外のことも十分に楽しみやすいようになります。
メディアとの付き合い方を親が示し、適度な距離感を持ってメディアと付き合うことを伝えていきます。
3歳以降の場合
これら3つの習慣を身につけることは3歳以降では遅いということは決してありません。
ただ、年齢が上げれば上がるほど、本人の理解と意思が必要になります。
習慣は押しつけても身に付きません。
一時的にそのように行動していたとしても、それはやらされているだけで強制しなくなればその行動をしなくなります。
本人が自分で決めることが重要です。
きっかけがあると人は行動しやすくなるので、小学生になる。中学生になる。などのタイミングに話をすると効果的です。
また、英会話教室に通い始めたタイミングで英語のテレビを見るように進めるなども効果的です。
環境が変わったり、何かを始めたりするタイミングは、新しい習慣を身につけるチャンスでもあります。
そのタイミングに合わせて、習慣について話し合い、子どもに習慣を提案し、子どもにどのようにするかを選んでもらい、継続するサポートをしてみて下さい。
意図的にひとつでも新しいなにかを習慣にすることができれば、それは大きな力になります。ひとつできればふたつ目は簡単になります。
最後に
セルフコントロール力は勉強だけでなく、ダイエットや運動など様々なことを習慣化する力にもつながります。
勉強を習慣にすることも、物事を継続することもセルフコントロールができれば楽に続けられるようになります。
もちろんやる気も大切です。
ただ、やる気だけでは行動にムラができてしまいます。
「勉強できない=やる気がない」ではありません。
やる気がでないときにも自分がどうすれば行動できるのかを知っていれば、やる気に自分の行動を左右されることは少なくなります。
習慣化すること、継続して行動することが意図的にできるようになれば、それは自分の人生において大きな力となってくれるはずです。
皆様の参考になれば幸いです。
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